そして僕は決意する……多分

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 互いに近付けば近付くほど銃弾が届くまでの時間が短くなる。そうなれば当然対処も難しくなる。だけど優衣は最初の位置から最低限動かず、受けに徹していた。  それでもやはり限界というものがある。迫りくる多数の銃弾を見切れきれずに体を傷付けていった。しかし、掠らせたり動きに支障を与える場所に当たらせないようにするなど、かろうじてだが耐えている。  捨て身の一撃。  それが優衣がしようとしていることだ。あまりにも分かりやすいから本人も隠そうとしていないことが分かる。そんな簡単に当たる気はないけど、逆に言えばこれは確実に倒すチャンス。  ここは優衣の考えに乗ってあげるとしよう。どうせ銃だけでは決定打に欠けるだろうしな。  残りの距離が十数メートルになった瞬間優衣が動いた。銃弾の雨を最小限の動きで掻い潜る。さっきまでとは違って今度は避けに徹している。  ここまで近付かれたらもう銃は意味がない。むしろ取扱いに困るだけだ。ホルスターに戻す暇すらなく、邪魔となった銃を捨てる。これで二丁あった拳銃全てを捨てている。  元々あってもなくても僕には大差ない武器だし、光剣さえあれば十分。 「はぁぁああああああああ!!」 「…………」  叫ぶ優衣と黙っている僕。対照的な言動とは裏腹に、移した行動は似たものだった。  
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