悪の組織 強襲 危機一髪

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「ったく、体調が悪いんだから大人しくしとけ」 「へぇー、正義も優しい時があるんだね」 「俺はいつでも優しいだろうが」  やっぱり正義は良い奴だな。……しかし揺れている所為で痛いことに変わりないんだよな。むしろ自分で歩いた方が痛みが少ないけど……これは言わないでおこう。 「ほら、僕に支障を与えない範囲で速く走れよ」 「いや、分かんねーよ!?」  四苦八苦しながらもようやく着いた。先生達から怒られると思ったけど、特に何も言われなかった。どうしてか気になり、来たときと同じ方法のバスに乗り込んでからその理由を考える。  ふむ、確か僕達で最後と言っていたな。しかしギリギリではあるけど遅れてはいない。そう考えると怒られる理由がない。何だ、僕の思い過ごしか。  でも僅かな可能性として、怒る時間が長くなるから仕方なく止めたということもあり得る。それはつまり、時間が余っているであろう帰宅後に説教が行われるかもしれない。  まぁ、その時はその時だ。僕は杞憂であることを祈るさ。  そんなことよりもようやく自由になれたんだ。ここで休まないでどうするというんだ。バスは片方に二つ席があり、補助席を含めて一列には五人座れる。その補助席も今は使わない。  バスは複数あるからそれほど詰めて座る必要がない為、何人かは一人で二人分のスペースを味わうことが出来る。その内の一人が僕というわけさ。
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