悪の組織 強襲 危機一髪

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「色々ですよ、色々」  言葉を濁して苦笑いを浮かべる次郎。これは言葉通りの意味なのか、それとも既に正義の味方の一員である次郎達が本部で何か用事を済ませてきたのか。  実力が伴っていない下っ端だからきっと前者だろう。仮に用事があったとしてもきっと重要ではない内容のはずだ。  ううむ、そうなってくるとこれは参考に出来そうにないのかな? 「とりあえず無理かどうかはっきりしてよ」 「私の一存で決めれることではないですよ。石動さん達にも了承を取らないといけませんので……」 「そっか、後で聞いてみることにするよ。後、敬語キモイからもう止めてね」  会話が始まった時から先生がいる方向しか見ていない。その為僕の言葉を聞いて次郎がどんな顔をしているのか分からないけど、大体予想はついている。  念の為に正義や花梨にも聞いておいた方がいいな。梨花はきっと花梨と一緒に回っていたと思うし、どうにかして今回のレポートを乗り越えないと。  そもそもこんな状況になった原因は坂之上さんにある。ちくしょう、どうしてくれるんだ。本来なら僕も正義達と一緒に見て回って、レポートで悩むこともなかった。 「今日は色々あったからホームルームも早めに切り上げる。気を付けて帰れよ」  クラスメートは待ってましたと云わんばかりに、大半が速攻で教室から出て行った。社会科見学があった今日だけではあるが、僕達一年生は部活に行かなくてもいい。  絶対に休む必要があるわけではないけど、部活にあまり熱中していない人だけは、すぐに帰宅できるという免罪符を得て嬉しそうに使っている。    
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