24287人が本棚に入れています
本棚に追加
/180ページ
自分の席に着くと鞄を机の横に置き、マフラーと手袋を取った。マフラーと手袋には雪が付着していた形跡が残っていて、少し湿っていた。湿っているのは嫌だったから、乾かす為に机の上でそのまま放置。
授業が始まる前まではいつも通り会話で過ごす。今日は誰にターゲットを絞ろうかな。正義とはいつも話しているから……地味にあまり話していない石動兄妹にしよう。
どうして同性である石動兄だけと話さないのか。別に石動妹を蔑ろにしているわけではない。むしろ話したいけど、たまには野郎だけのトークをしてみたい時だって僕にはある。
石動兄と妹と一緒に話す理由……それは――――
『石動兄いる所、石動妹あり!!』
この言葉で全て説明が付く。ちなみにこの格言を作ったのは僕であり。中々上手く表現出来た言葉だと自画自賛したくらいだ。
石動妹、石動玲奈がブラコンという事実は既に周知へ知れ渡っている。しかしごく少数の人間は、石動玲奈はブラコンではないとしている。
そいつらの証言によると、兄である石動拓也を見る目が、明らかに一人の異性として見ているとのこと。僕もそんな気がするからその意見を馬鹿に出来ない。馬鹿に出来ないからこそ恐ろしい。
少し話がずれそうだな。
とにかく拓也と話をする時には必ず、傍らに玲奈がいるわけだ。休日の日だと、二十四時間常に一緒でも言われても納得さえしてしまうほどに。
流石に目の前にいる玲奈を除け者に出来ない。
最初のコメントを投稿しよう!