悪の組織 強襲 危機一髪

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 自分の席に着くと鞄を机の横に置き、マフラーと手袋を取った。マフラーと手袋には雪が付着していた形跡が残っていて、少し湿っていた。湿っているのは嫌だったから、乾かす為に机の上でそのまま放置。  授業が始まる前まではいつも通り会話で過ごす。今日は誰にターゲットを絞ろうかな。正義とはいつも話しているから……地味にあまり話していない石動兄妹にしよう。  どうして同性である石動兄だけと話さないのか。別に石動妹を蔑ろにしているわけではない。むしろ話したいけど、たまには野郎だけのトークをしてみたい時だって僕にはある。  石動兄と妹と一緒に話す理由……それは――――  『石動兄いる所、石動妹あり!!』  この言葉で全て説明が付く。ちなみにこの格言を作ったのは僕であり。中々上手く表現出来た言葉だと自画自賛したくらいだ。  石動妹、石動玲奈がブラコンという事実は既に周知へ知れ渡っている。しかしごく少数の人間は、石動玲奈はブラコンではないとしている。  そいつらの証言によると、兄である石動拓也を見る目が、明らかに一人の異性として見ているとのこと。僕もそんな気がするからその意見を馬鹿に出来ない。馬鹿に出来ないからこそ恐ろしい。  少し話がずれそうだな。  とにかく拓也と話をする時には必ず、傍らに玲奈がいるわけだ。休日の日だと、二十四時間常に一緒でも言われても納得さえしてしまうほどに。  流石に目の前にいる玲奈を除け者に出来ない。
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