悪の組織 強襲 危機一髪

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「やっほーい」  僕の席の隣は正義と次郎。次郎側の一つ奥が拓也、そして玲奈という風に連なって並んでいる。多分転校生という配慮で知り合いの近くにさせたのだと思うが、何かずるい気がするのは気の所為か。  いや、気の所為ではない。本来なら窓側の一番奥の席は僕の物だった。まぁ、今となってはこの席にも慣れてきて、変えられたことはもう気にしていない。 「どうしたんだ優介?何か用でもあるのか?」  拓也の隣にはやはりというか玲奈がいて、僕が話すまで二人で仲良く談笑しているようだった。 「いやー、なんというかこの間のレポートの件。改めてお礼を言いたくてさ 「なんだそのことか。別に減るものでもないし気にしてないよ」 「そういえば優介さんはどうしてレポートを書けなかったんですか?あれは書き方が分からないというより、あそこに何があったかすら分かっていないみたいでしたよ?」  大好きな拓也との会話を中断されても笑顔な玲奈。あかん、健気で可愛すぎるわ。  「そういえば三人は知らなかったっけ?僕はあの時体調を崩していて全然見て回れなかったんだよ」  確かに言ってなかったような気もする。それに次郎と石動兄妹とは正義の味方本部で一度も会うことはなかったから、説明も出来なかった。   そして堂々と嘘を吐く僕。いや、回れなかったことだけは本当だな。
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