24287人が本棚に入れています
本棚に追加
/180ページ
授業と授業との間にある僅かな休憩時間も会話に費やす。時間にして十分間。短いけれど会話ぐらいなら十分に出来る。
「今日は体育があるっけ?一応体操服は持ってきたんだが曖昧でよー」
「ええと、うん。確かそうだった」
僕達はあくまで高校生だ。一般的な学校と同じような授業も当然あって、それは例に洩れず体育も一緒。実践授業をしているから必要ないのではないのか?という疑問もあるかもしれない。
そこはまぁ、基礎体力を付ける為と納得してほしい。僕も戦いの技術や頭を使う勉強だけではなく、純粋に楽しめる授業も欲しいからね。
「実際に戦うのもいいけど、やっぱり体育も楽しいよな」
「僕としては体育の方が楽しいと思えるけどね」
「それは意見の相違ってやつだよ」
確か体育は二限目にある。今から一限目が始まるからもうすぐと言ったところか。今の期間は室内で球技系が多い。球技が好きな僕としては喜ばしいことだ。
会話のキリがいい所で一時間目の授業を知らせるチャイムが鳴る。さて、そろそろ気を引き締めるとするか。
「よぉしぃい、始めるぞぉお~。日直ぅう~号令ぃい~」
言葉を巧みに操り、催眠波を生み出す使い手。国語を担当している通称おじいちゃん先生が入ってきた。眠気を誘うのんびりとした口調は、あの生真面目な花梨でさえ眠りかけるという。
最早超能力の部類に入っているのではないか?恐ろしい人だ。
最初のコメントを投稿しよう!