悪の組織 強襲 危機一髪

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 無駄に設備が充実しているこの学校。体を動かすところは勿論、図書館といった文学的なところもとんでもないことになっている。  そもそも教師が凄い時点で恵まれているんだろうな。ああ見えて担任の澤谷先生も頭が良いらしい。ああ見えて、と言ってしまうと少し失礼かな?まぁ、どうでもいいけど。  今行こうとしている体育館についてだが、普段僕達が使っている棟から別の場所にあって少し時間がかかる。やれやれだな。 「あ、正義。トイレ行きたいから先に行ってて」  正義に尿意があったのならば僕と一緒に連れションをするはずだけど、どうやらそれはなかったようだ。おう、と返事をすると先に体育館の方へ向かっていった。  正義と別れた後、僕は僕で通り道から一番近い男子トイレまでのルートを頭の中で導き出すことにした。実際に探し出して中へ入る。  着くまでに時間が掛かるとはいえ、トイレをする時間ぐらいはある。というかないと困る。  いざ用を足そうとした途端、全校放送の合図が鳴り響いた。授業の始めと終わりを告げるチャイムとは異なり、ピンポンパンポーン、という軽快な音が聞こえる。 『正義の味方の卵である諸君、こんにちは』  は?何こいつ?  突然聞こえてきた理解の出来ない軽快な声に、脳内の殆んどを疑問が占めてしまった。  本来全校放送を使った際には、誰々からの放送と名乗る必要がある。生徒が使う場合にしても生徒会を含めた委員会しか使わないので、「生徒会からのお知らせです」などと毎回言っている。  それは先生でも大差なく、自分の苗字、または名前を言ってから内容に入る。  
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