悪の組織 強襲 危機一髪

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「同志だと?捕まっている罪人を解放できるとでも思っているのか」  それもそうだ。悪の組織に属している人間は、普通の犯罪者と違って罰も一段と重くなる。例えば自分は悪の組織の人間だ、と公言するだけでも捕まる場合があるほどだ。 「分かっているさ。だからこその君達人質だよ」  ……やはり俺達は人質扱いか。 「兄さん」 「拓也」  後ろから玲奈と次郎の声が聞こえる。怪しまれないように振り向くことはせず、黙って耳を傾ける。 「私の携帯でも正義の味方に連絡が出来ません」 「相当用意周到に考えられた計画だなこれは、うん。で、どうするよ拓也?うん」 「今はどうすることも出来ないな。超能力で手錠を破壊して抵抗をしても、外せない人の方が多数だろうから、すぐに人質を使われてどうすることもできなくなる」  何かいい機転が発生すればいいんだがそれは高望みか。 「少なくともあっちが人質解放を目的にしているならば、向こうから正義の味方に連絡を取るだろう。今は大人しくしておいた方がいい」  くそ、無力な自分が歯がゆい。  敵の人数はここにいるだけでも十人後半か二十人前半。ならば全体で考えたらもっといるだろうな。俺一人が倒せる人数は良くて二、三人。  超能力を使える人全員でタイミング良く手錠を破壊し、一気に相手を無力化に専念すれば可能性があるけれど、それはまず無理だ。  前提条件として皆が同じことを考えているとは限らない。  
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