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「お前ら何しに来たんだ!?」
こいつらの無鉄砲な行動に驚愕しか生まれない。花梨さんの言うとおり、ここでばれたら最悪殺される可能性があることぐらい分かっているはず。どうしてこんな危ないことをしたんだ。
「……すまん。危険は承知だったんだが、優介の姿が見えなくて心配になってよ……。拓也の所にいると良かったんだが……いないみたいだな」
そう言う正義からは、段々と覇気が弱々しくなっていくように感じられる。確かによく遊ぶメンバーの中でここにいないのは優介だけ。携帯が使えないから安否すら分からない。無事だといいんだが。
「ちくしょう、最後にあいつといたのは俺だったのに」
「後悔しても遅い。俺達が出来るのは優介を信じることぐらいだ。お前がめそめそしててもウザいだけだ。止めろ」
なんて辛辣な言葉だ。
「でもああやって正義君を励ましているんですよ」
「素直に言えばいいのにね」
「……いつも通り」
俺達より付き合いの長い女子三人組は、洸の言葉をそのままの意味で取っていなかった。一応普段の二人の立ち振舞い方は知っていたつもりけど、こんな場面でもそうだとは知らなかった。
これには次郎と玲奈も訝しげな表情を見せ、俺と似たように信じられないみたいだった。なんだか自分達だけが分からないようで嫌な気分になる。
自身が転校生であると見せつけられるこの事実に、なんとなく空しく思う。みんなとの付き合いの短さがこんなところで表れるなんてな……
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