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―――まぁ、そんな都合よく事件が起きるわけもなくて石動兄妹は単なる寝坊だった。
授業の一時間目が始まるかどうかの瀬戸際で二人してやって来た。
勢いよく開けた扉ということでも急いで来たというのがすぐに分かる。
息も絶え絶え、服なんか揉みくちゃにされているようだ。
開口一番二人して謝ったが一時間目の先生にかなり怒られた。
授業時間が減るとのことですぐに開放されたがとぼとぼと覇気を失った状態で歩く二人。
やっぱり兄妹だな、なんか似てる。
「今日は厄日だな」
「兄さんがいけないんですよ、私があんなに起こしたのに起きないなんて」
「それは悪いと思うけど、起こしに来た玲奈が俺のベッドで潜り込んで寝るのもおかしいだろう」
……ちょっと待て。
今聞き捨てならない言葉が聞こえたのだが……
これはスルーするべきではない。
するべきではないのだが、今は授業中なのでなんとか自分を抑える。
「朝からなにラブコメやっとんねん」
しかし二人のすぐ近くにいる次郎は小声で話しても伝わる為、問題なく話している。
それにしても次郎は慣れているのか、驚いた表情は見せずに寧ろ呆れの方が上回っているようだ。
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