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二人がピンクオーラを放っている間に次郎が僕の視線に気付く。
僕の考えを察し、諦めろと言わんばかりに首を横に振る。
分かっている、もう慣れた。
先生は知ってか知らずか二人を無視して注意することはなかった。
その代わり正義が叩き起こされたけど。
拳による鈍い音と正義の悲鳴、それらによって教室内は笑いに包まれる。
「いててて、先生。俺の天才的な頭脳がおかしくなったら先生の所為ですよ」
「何が天才的な頭脳や。そないな冗談が言う暇があるんなら、その空っぽの頭を英単語の一つや二つで埋めてこんかい」
「お前が言える立場かよ次郎!!」
今度は正義と次郎のやり取りで笑いが起きる。
なんだかクラスメートの士気というか教室の盛り上がり度が上がった気がする。
それはやっぱり三人が転校してきたからだろうか。
それから授業は正義と次郎のふざけあいに感化されてグダグダになって終わった。
良い仕事したじゃないか、誉めて使わす。
実は今日提出しないといけないこの教科の宿題忘れていたんだよな。
助かった。
先生が扉に手を掛けた所で立ち止まる。
「あ、そうだ。今日集める予定だった宿題、帰りのホームルームで澤谷先生に集めてもらうからな」
言い残したことはないと言わんばかりに颯爽と去っていく先生。
先生の発言は僕の思惑を綺麗にぶち壊してきた。
宿題をしないといけないので僕のお昼寝タイムが音もなく泡のように消え去っていった。
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