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「行くわ」
「即決だね。その判断力、尊敬に値するよ」
もう少し悩んでもおかしくないと思ったけど、綺麗に外れたな。
「すみません、私はちょっと家の用事があって……」
「そう……うん、分かった。……頑張ってね」
「露骨にガッカリした表情を見せないでよ!!」
花梨がいきなり僕の旋毛(つむじ)目掛けて拳骨を喰らわせてきた。
どうして頭を叩くんだ!!
それにガッカリもするに決まっている。
梨花は可愛くて優しいんだぞ。
いるだけで雰囲気が良くなる。
今だってほら、ビックリしている表情もキュートじゃないか。
「優介知らないの?梨花の家お店出しているのよ。しかもあなたも知っている天草旅館(あまくさりょかん)の跡取り娘。梨花は真面目で偉いからよく手伝いをしているわよ」
まるで僕のことを馬鹿にしたような口振りで話す花梨。
失敬な、確かに知らなかったけどさ。
しかしそれってかなり凄いことじゃないか。
確かに天草旅館は僕でも知っている有名な旅館。
利用はした時はないが、よくテレビのコマーシャルで見る機会がある。
地元だけではなくて全国からでも評判が良いらしく、予約が殺到しているらしい。
そこの跡取り娘ということはつまり……凄い。
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