24287人が本棚に入れています
本棚に追加
/180ページ
「いや、僕も遊ぶのはこれが初めてなんだ。家にあるのは昔から知っていたけど、使う暇がなかったから中身は全然知らなかったんだ」
実はこれを買ってきたのは僕ではない。
今は亡き父さんの物。
昔から(記憶の中では)父さんは陽気で無邪気で子供っぽい人だった。
小さい頃よく遊んでくれていた記憶を忘れることは一生ないだろう。
そんな年甲斐もなく僕と遊んでくれた父さんだからなのか、僕と遊ぶ為のをおもちゃを沢山買ってくる。
それこそテレビゲームや今回みたいなボードゲームにキャッチボールをする為にわざわざ新品のグローブまで用意していた。
あまりの多さに遊び尽くすことが出来ずに物置へ持っていくことがしばしばあった。
この人災ゲームもその一つ。
だけど僕はボードゲームよりも外で遊ぶ方が好きだったし、家でする遊びといえばテレビゲームが多かった。
その所為でボードゲームで遊ぶ機会は無かった。
今も物置には使われていないおもちゃや飽きたおもちゃなどがある。
こんなことを話しても空気が重くなるだけ。
これは自らの胸の内に潜めていた方がいい。
「なんでそんなのがあんねん」
次郎が笑っているがこれで良い。
もし事実に気付いて気まずい雰囲気になるぐらいなら最初からこうして笑い話で終わればいい。
最初のコメントを投稿しよう!