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表面上では取り繕って平気なフリをするが、心の底では悲しんでいるのが分かった。
もう大丈夫だと思ったんだけどな……
両親のことは忘れるまではいかなくても、いつまでも引き摺ることはしたくない。
『今』この瞬間を僕は生きているんだ、未来を良くする為に頑張らないといけない。
過去は蔑(ないがし)ろにするのではなく、思い出として、自分の一部と捉えていこう。
それに親戚の家の人も僕に愛情を持って接してくれていた。
それで十分満足出来る。
「やったぜ!!勝ったぁぁぁぁ!!」
一人ボードゲームで勝って喜んでいる馬鹿がいるけど気にしない。
たかが遊びにそれだけ熱中出来る馬鹿を見ていると、しんみりしていたのがそれこそ馬鹿らしく感じる。
「どうなったんや?まぁ、拓也が勝ったことは分かるんやけどな」
「一応私達も生き残ってはいたんだけど、拓也が一人先にゴールしたのよ」
あれから三人共あの死亡マスに止まらなかったのは凄い。
後半になれば死亡マスが増えてくるって説明書に書いてあったのに、それを掻い潜ってゴールするとは……心底どうでもいいけどやるな。
ふと時計を見てみると思ったより時間が過ぎており、世間一般でいう夕御飯の時間帯。
こうして時間を忘れて楽しく過ごせたのだから、たまには童心に帰るのも悪くないと思ってしまう。
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