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「ほら早く材料貸して。カモンカモン」
女子がいる前で切れるという無粋な真似をするつもりは毛頭ない。
だけど怒っているのには変わりないから無言で威圧し続ける。
それでも確実に効果は出ていて、二人は僕にビビっている様子。
でももう面倒くさいから許そう。
今更だけど僕って怒りの沸点が低いような気がするけど、許すことも早いような気もする。
どうでもいいけど。
「ほら、料理が出来ない男子二人組と花梨はテレビでも見てのんびりしていてよ。悪いけど詩織と玲奈は手伝ってくれないかな?量が量だし大変だしさ」
ふっふっふ、僕の家のキッチンは料理をする人が三人いても邪魔にならないぐらい広い。
ちょっとした自慢だ。
だから一人だと寂しく感じる時もあるけど、それは心の内側に潜ませておく。
はい、と可愛らしい返事の玲奈とコクリと小さく頷くこれまた可愛らしい動作で了承する詩織。
「ちょっと優介。なんで私が手伝えないのよ」
僕の意見に納得が行かなかったのか、不満そうな顔をした花梨が少し顔を赤くして怒っていた。
それと裏腹に僕はかなり驚いている。
だって“あの”花梨から料理を手伝うだなんて言葉を聞くとは。
「花梨、料理作れるようになったの?いや間違えた。あの大惨事から料理を作ろうと思ったの?」
「大惨事?」
「何があったんや?」
なにやら料理が作れない男子が気になっている様子。
それだけではなく、玲奈と詩織も表情や視線で気になっていると訴えてきている。
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