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「あれは思い出すのも煩わしい酷い記憶。あの時の犠牲者となった僕と正義。匂いだけで意識が奪われそうになった数々の料理。強制的に口に入れられた瞬間正義は幻覚を見て僕は気絶。気絶で済んだ僕はマシだったのかもしれないな」
「もういいでしょ!!過去のことを執拗に蒸し返さないでよ!!……ていうか正義幻覚見てたなんて初めて知ったわ。それにあなたも気絶だったの?美味しくて眠たくなっただけじゃないの?」
「まだまだ語り足りない辛い記憶が存在しているんだけど」
花梨、君のその驚きから察するに自覚がない上に腕も上がっていないように見える。
やっぱりここは引いてもらった方が身の為だ。
君の殺人料理の犠牲者は僕と正義の二人で留めておきたい。
「でも……私はあれから料理のこと一生懸命勉強したのよ!!あの時はそんなに酷いって分からなかったけど……。優介が美味しいって言いながら食べてくれたことが嬉しくて、もっと美味しい料理を食べて欲しいって思ったから沢山頑張ったんだから!!」
「花梨さん……」
「……花梨」
必死に、真剣に、そして本気で主張する花梨にみんなは感動しているみたいだった。
玲奈は特に感化されて涙目状態。
そういえば確かにあの時は花梨を悲しませないように正義と一緒に頑張ったな。
でも今更不味かったって言うとは僕はなんて酷い奴だ。
僕達は嘘をついたけど、花梨は僕達の言葉が本当に嬉しかったんだ。
そのまま嘘をつき続ければ良かったのに、僕があんなことを言った所為で花梨は……
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