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「優介……」
頬を紅潮させ、潤んでいる瞳で僕を見つめる花梨。
その瞳からは色んなことが伝わってきた。
料理を作りたいという意志以上に何故か僕に対する強い思いを感じる。
唇は何かを発しようとしているみたいだが、それでも言葉に出来なくて小さく震えていていた。
それらは今までの花梨からは想像が付きにくい程可愛らしくて、魅力的な女の子だった。
「分かったよ、花梨も一緒に料理を手伝って」
流石にこの状況で断る僕ではない。
花梨の今までの努力を知る機会と思えば丁度いいのかもしれない。
本人もあれだけ頑張ったと言うのだから僕も少しはそれに答えないと男が廃る。
万が一味が変わっていなかったら……僕一人で全部食べてしまおう。
そして美味しいと言おう、それで花梨が喜ぶなら安いもんだ。
そんなことはもう起きないと思うけど。
起きました。
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