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僕がこの思い出が大切だと思う理由は、ここで会うことになる彼女のお陰。
つまり場所というよりも彼女との思い出が僕の大切な思い出。
何度繰り返したかはもう覚えていないが、最低でも十回以上『僕』はここにやって来ていた。
そしてもう一度『僕』がやって来る時間帯に突然ブランコに人影が生まれた。
公園からやって来る『僕』とは違い、ブランコの側にいる僕なら誰がそこにいるか分かる筈。
しかし近くにいるのにも関わらず、その人影はモヤが出ていてよく分かりにくい。
それはそうだろう、昔の『僕』はあそこから見た時、誰がいたのか分からなかった。
『僕』が近付くにつれて人影がはっきりと鮮明になっていく。
それと同時に全てを覚えている僕は段々と多彩な感情が込み上げてくる。
その感情は嬉しいや懐かしいなどの好意的なものばかり。
いつもの場所が顔も知らない女の子に取られてのを見た『僕』は、何事もなかったようにジャングルジムへと向かう。
元々ブランコに思い入れはなかったので誰が使っていようと何一つ気にしなかった。
ただ一人になる時間が欲しかっただけ。
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