僕は友達が少……多い方だ

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 喉元に剣先がある為身動ぎしか出来ない。殺すつもりはないけど十分な脅しにはなるはず。 「……降参……する」  その言葉を聞くと大人しく剣を退かす。刀身を納めて柄の状態にしポケットに突っ込んでおく。  終わったことによって先程のため息とは違って今度は安堵の息を吐く。  彼女はゆっくりと立ち上がり変身を解いて、戦闘服姿から元の女の子らしい服装に戻る。そして彼女の素顔が再び露になる。うん、やっぱりどこかで見た感じがする。 「君の名前は?」 「え?」  僕に負けたショックからまだ立ち直っていないらしく覇気が弱い。それどころか涙目だったので少し気まずい。 「君の名前だよ。僕が勝ったんだし教えてくれるんでしょ?」  僕が彼女の涙目を気になり直視していると、ふと彼女と目が合った。そのまま見つめ合っていると彼女はハッとしたように気付き慌てて目を擦る。 「うん、約束は約束だしね」  泣いていたことが恥ずかしいのか頬が赤い。誤魔化すように声は強気だ。 「ボクの名前は内田真弥(うちだまや)。歳は十五だけど君と同じ高校一年だよ」 「へぇー、そうなんだ。良い名前だね」 「……気付いていないの?」 「えっと……何が?」
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