僕は友達が少……多い方だ

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「お前らもういいから出てけ。もう用事はないしあったらまた呼ぶ」  僕達の意思に構わず自分の言葉だけ伝えると綾さんはパソコンと向かい合う。仕事の途中だったのか、忙しなく動く綾さんの指やいつになく真面目な表情に声を掛けにくい。 「……行こっか」 「そだね」  気付いてもらえているか分からなかったが出ていく際に一礼する。僕の後に続いて真弥が部屋を出ていった。  行く宛もなく真弥と基地内をさ迷う。所々に地図があるからそれを頼りにして時間が潰せる所にでもいこう。あまり騒ぐ気もないのでゆっくりと落ち着いた場所がいい。  真弥の意見も参考にしようとしたがどこでもいいと言われた。そういう奴に限って気に入らない場所だと文句を言ってくるんだよな。それなら最初から言えよ、とよく思う。  色々と考慮した結果、西川さんと会ったカフェにでも行くことに決めた。あそこならいい具合に時間が経ちそう。それに美味しかったから味も悪くない。そこのカフェを真弥は知らなかったらしいけど、基地内のことを知ることも含めて一緒に連れていこう。  適当に歩き回ったことが良かったのかそう遠くない場所にそのカフェはあるらしい。真弥は初めて行くそのカフェにテンションが上がっていた。
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