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ジャングルジムの一番高い所まで登り、正方形の一辺に座る。
そしてブランコに座り込んでいた時と同じように空を見上げた。
場所が違っていてもするべきことは変わらない。
だから『僕』はいつもと変わらず淡々と一日が終わっていくと思っていた。
だけどそんな浅はかで子供が考えたものは当てにはならず、あっさりと外れて崩れ去った。
それを起こした原因は、いつもならいなかったブランコに乗っていた女の子が僕に話し掛けたことによって。
いつの間に登ったのか分からないがこうしてジャングルジムに来ている。
ただ登っただけとは考えづらく、僕に用があるのかと思ったら正解だった。
「何してるの?」
これが彼女からのファーストコンタクト。
両親のことで卑屈で生意気でもあった『僕』は、横にいた彼女に対して振り向きもせずにこう返事をした。
「うるさい」
親しげに話し掛けてきた相手に返事として示すと不快感を表す言葉の一つ。
しかし彼女は傷付いた気配は全くなかった。
それどころか更に『僕』へ関わろうとする。
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