僕は友達が少……多い方だ

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「言っておくが俺もそういう奴らに会ったことはない。俺が思うにこれは意図的なものだな」 「つまり、悪の組織なのに悪い人間は一人もいないってこと?」  僕の代わりに真弥が言ってくれた。他の人から改めて聞いてみると……なんともおかしい話だ。 「誰一人いないという保証はないが、少なくとも俺はそう思っている」 「どうしてそういう風になっているんだ?」 「そこまでは知らねーよ」  自分で作った話題のくせに分からないとは何事だ。 「ただ、これが重要な意味合いを持っていることは確か」  桐原は一息を入れる為に飲み物に手を伸ばす。ぷっはぁー、と息を吐く仕草はまるで酒を飲んでいる中年のオッサン。 「一応この事実に気付いている奴も知っているし、そいつらはそいつらで何か知っているかもしれない。でも教えねーぞ。自分で探せ」 「それぐらい教えてくれてもいいじゃないか、ケチ」  今頃になって年上の余裕を見せびらかす桐原。僕の皮肉を華麗に受け流した。 「教えてくれないならもう行くよ」  既に僕と真弥の飲食物は無くなっている。ここで時間を潰す為に来たので帰ると言ったのは単なる嘘。裏では桐原が情報を教えてくれないかなーという淡い期待を抱いて桐原の出方を待つ。
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