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「変わってるね」
「そうかな?」
「うん、変わってる。絶対変わってる、変」
口ではそう言っているが少し嬉しそうに見えるのは錯覚だろうか。
「なら……この世界のこと、どう思ってる?」
「嫌い」
ただ一言、それだけを述べた。その返しにアリアは体の動きを止めていた。
嘘は吐いていない。事実であり本音である。僕はこの世界が嫌いだ。
アリアはそうなんだ、と小さく呟いてから思い出したかのようにブランコを漕ぐ。実際にはそれは小さく揺れるといった程度。
「どうしてか聞かないんだ」
「うん、だって言いたくないでしょ?分かるもん」
「アリアになら別に教えてもいい」
アリアにだけという特別を強調したがなんだが恥ずかしくなり、誤魔化すようにブランコを漕ぐ。漕いでいる時に生じている金属が軋む音を聞きながら話を紡いだ。
「僕はこの世界が嫌い。父さんと母さんを奪ったこの世界が嫌い。理由はそれだけだけど、それだけだからこそ、この世界は嫌いだ」
初めて他人に明かす自らの心境。アリアは黙って僕の話に耳を傾けてくれる。
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