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「ゆ、優君!?ごめんね、こんな話しちゃって」
泣いている僕を見てアリアは慌てて謝ってきた。もしかして自分の所為だとでも思ったのかな?
だとしたらアリアは何も悪くないと説明しないといけない。
「違うよ、アリアは何も悪くない」
袖で涙を乱暴に拭き取り泣き止んだ顔を見せたけど、まだ心配そうな表情をしている。
「アリアは……この世界のこと好き?」
僕は嫌いと言った。だけどアリアはどう思っているか知りたい。
アリアは手を顎に持ってきて目を閉じ考えるポーズをとる。
「私は好きかな」
かなり驚いた。僕が勝手にした想像とはいえ、てっきり考えは同じだと思っていたからだ。
「確かにお母さんが亡くなったことは悲しいよ。だけど私にはまだお父さんがいる。それに、優君にも会えたしね」
その言葉を素直に信じる。アリアは凄いんだな、僕にそんな考えは出来ない。
「凄いなアリアは……。……僕とは大違いだ」
思わず口にしたが幸いにもそれはアリアの耳に届くことはなかった。
「それでね優君……私、悪の組織に入ってるんだ。」
さっきから驚いてばっかりで多少のことでも動じない自信はあったつもりだが、どうやらそれは気の所為だったみたい。
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