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「のわぁぁぁぁぁああああ!?」
いくら感情が乏しかったこの時の『僕』でさえこれには驚いた。
彼女から逃げる為に必死に足を動かす。
それを見た彼女が「わーい、待てー」と喜んでいたのに焦りと驚愕で気付くことは出来なかった。
『僕』ら世代の子供だと、それほど男女に身体能力に差はない。
寧ろ女の子の方が成長が早いので強いのではないかと思う。
現に男である『僕』と女である彼女の距離は良い具合に保っていて差が中々開かない。
逃げ回っているといってもただうろちょろしているわけではない。
ジャングルジムや滑り台を使ったりして距離を稼いだりしている。
しかし所詮は成長期にも達していない未熟な体力では限界があり、『僕』より体力があるらしい彼女は徐々に開いていた差を縮めていく。
『僕』も精一杯逃げるが努力空しく、最後には背中に手を触れられて鬼となった。
そこで自然と立ち止まる『僕』達。
走り回った所為で顔から大粒の汗を垂らしていた。
当然全身汗で濡れている。
不快感を感じるがそれを上回る充実感。
この時の『僕』は笑っていたんだなぁ、と今回この立ち位置になって初めて知った。
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