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「寒いよー、寒いよー」
すっかり雪景色となった十二月の上旬。降り積もる雪に感動を感じることはなく、寒さと冷たさと靴に雪が入ったりと良いことが全然ないので最早苛立ちしか生まれてこない。
実際に学校まで来る時に誤って雪が積もっている部分に片足が埋まってしまい、足は冷えても頭は沸騰する勢いにまでなった。
溜まった怒りを雪玉に込めてそこら辺の壁にぶつけて発散させたりした。それと引き換えに今度は手が冷たくなったが。
基本寒がりな僕は制服の内側に何枚も着込んでいたりしているけど、やっぱり寒いものは寒い。
「寒い寒い言うな。寒いと思うから寒く感じるんだよ。だから考え方を変えて暑いと思え。心頭滅却すれば火もまた涼し、全ては気の持ち方次第!!」
隣で馬鹿がなにやらほざいている。寒いと言おうが思うがどちらにせよ寒い。考え方一つで寒さを和らげるなら苦労はしない。
「それなら裸になって雪に突っ込んで来い」
「すいません、寒さには勝てません」
もう少し張り合いがあってもいいだろ。呆気なさすぎだ正義。
「正義、カイロ持ってない?」
「湯タンポならあるぞ」
聞いた僕が馬鹿だった。
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