そして僕は決意する……多分

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「とりあえず湯タンポ寄越せ」 「嫌に決まってるだろ。学校まで持って来るのに苦労したからな」 「お前らホームルーム始めるぞ」 「先生、正義が学校に関係ない物を持ってきています」  僕の物にならないならせめて湯タンポの恩恵を正義から手放すまで。僕の証言により先生は校則に則り湯タンポを取り上げる。正義は泣きながら湯タンポに手を伸ばすが空しく宙を掻く。  ざまぁみろ。素直に渡せば取られずに済んだものの。 「ちくしょう優介、恨むぞ」  まだホームルームであり先生が話している最中なので僕にだけ聞こえるよう小声で話し掛けてきた。万が一先生にバレるとうるさい説教をしてくるからここは華麗に無視するのが正解。 「静かにしろ池田に福野!!」 「ちょっと!!僕は話していませんよ!!」  何故だ。もしかして僕と正義はセットとして考えられてるのではないのか?もしそうならば極めて屈辱的だ。  真実を知っている僕の周辺に座るクラスメートは気の毒そうに視線を送ってくる。その中の一人の次郎に目配せをした。頼むから次郎、代わってくれよ。  通じなかったのかそれとも通じたからこそなのか、顔を背ける次郎。よし、お前も敵ということは分かった。覚えとけこの野郎。
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