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みんなとは裏腹に僕は大して気乗りしていない。悪の組織に入っているというだけではなく、僕自身が正義の味方に関わりたくない。
それに知っていればこの学校にさえ入学するつもりはなかった。ドジで済まされない失敗だったけど、友達に恵まれたから後悔はしていない。
「それでどこに行くんですか?」
騒ぐクラスメートを他所に冷静に尋ねる花梨。うん、この光景を後ろから見ていると益々花梨が委員長で適任だと思う。
「今回の場所は今までで一番凄いぞ。そこは……っていい加減黙れガキ共!!」
耳を押さえてしまうほどの怒声を吐き散らかす先生。静まり返る教室。ふて寝をしている正義。先生が投げたチョークに当てられる正義。起きて文句を言う正義。睨まれて黙る正義。
「今回お前達が行く場所は、正義の味方の『本部』だ」
一息の間。そして―――
「「ええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」」
先生が先程静かにさせた甲斐も空しくそれ以上の大声が教室に響き渡る。僕を含めた数人はタイミングを逃したからか、はたまたどうでも良かったのか。声を張り上げることなく耳を押さえて顔をしかめていた。
ちょっ、うるさ。
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