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「傷つく?冗談でしょ。」
『え?』
「あれくらいで傷つくと思うの?私は女の墓場で働いてた女なのよ?」
わざと吐き捨てるように言うと、電話の向こうから困惑が伝わってきた。
「…ねぇ知ってる?女の墓場が何をする所なのか。知らないよね。知るわけない。ぬくぬくと裕福な家で育って…他人を見下して笑ってるあなたなんかに、分かるわけがないもの。」
『なんなのよ!!馬鹿にしてるの!?』
「最初に私を馬鹿にしたのはあなたじゃない!!」
汚い、そう言って私を蔑んだ。
ゴミでも踏みつけるように、私を傷つけようとした。
「…ただ体を売るだけじゃないのよ。暴力や薬、なんでも有りなの。生き物として扱われないのよ。ただの使い捨てのオモチャ。それによって死んだ人も見たし、狂っていく人も見なきゃいけなかった。」
辛い光景だった。
未だに夢でうなされる事もある。
脳裏に貼り付いて離れないのだ。
「あそこは墓場なんかじゃない!!地獄よ。女の地獄なのっ…。」
感情的にならないと決めたばかりなのに。
あの頃を思い出すと…どうしても声が震えてしまう。
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