プロローグ

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まだ寒さが残る3月。 たくさんの人々が足早に通り過ぎる駅の前で、私、畑野 渚はそわそわと辺りを見渡していた。 遅いなあ…。 待ち合わせは6時だったはずだが、今は6時を20分も過ぎている。 今まで時間に遅れてくる事などなかったから…不安が頭を過っていた。 「…メール、してみようかな。」 呟き携帯を開く。 ボタンを操作する指がかじかんでいて、上手く打てない事にも不安になった。 それでも一生懸命メールを打っていたら…。 ポスン。 何かが頭の上に乗っかったのか、急に重くなる。 恐る恐る顔を上げて、安堵に胸を撫で下ろした。 「隆史…」 目の前で息を切らしながら私を見下ろす、私の大切な人。 古賀 隆史。 イケメン教師として生徒に大人気な、高校教師だ。 「ごめんな…遅れてっ…花屋が新人で…」 花屋? 隆史が言った言葉に首を傾げる。 すると、頭に乗っかっていた何かから、ハラハラッと花びらが落ちてきた。 「これ、お祝いだ。フロアチーフ昇進おめでとう。」 「!!」 言葉と共に頭の重みがなくなり、大きな花束が目の前に差し出される。
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