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「うそ…隆史…ありがとうっ」
感激して泣きそうになるのをこらえ、花束を受け取り隆史に抱きつく。
隆史はもう一度「おめでとう」と言って私を抱きしめてくれた。
隆史と正式に付き合い始めて、まだ半年。
しかし、出会ってからはもう4年以上が経っていた。
教師と生徒として出会った私達がこういう関係になったのは…そもそもが私の嘘が原因。
高校3年生の夏。
母が病に倒れ、母子家庭だった私は我が家に残った多額の借金と引き換えに体を売る事を強要された。
「初めては…古賀先生が良い。最後の日々を古賀先生と過ごしたい。」
そう強く思った私は、夏休みに強行手段にでる。
「私はもうすぐ死ぬ。だから、最後に先生との思い出を下さい。」
そんな酷い嘘をつき始まった先生との同棲生活。
辛く、悲しく、でも幸せだった日々が終わり…先生も以前から私を好きでいてくれた事が分かったのだ。
でも…それから2年以上、ある理由から私と先生は離れる事になる。
その間に私は今働いている高級レストランに勤め始め、先日ついにフロアチーフに昇進した。
「渚、何が食べたい?今日はお祝いだからな。なんでも言う事を聞いてやる。」
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