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隆史の言葉に少し考え、ふるふると首を振る。
「じゃあ隆史のマンション行こう。私、何か作るから!」
「え?せっかくのお祝いなのに…良いのか?」
「隆史と居られれば、それで良い。」
照れつつも正直に答えたら、隆史がとても優しく笑った。
「じゃあ、行こうか。」
「うん!!!」
付き合い始めた当初、一緒に暮らす話が出なかったわけではない。
ただ、その時はまだお母さんをあの家に一人残していくのにためらいがあった。
うつ病を患っていた母を、一人にするわけにはいかない、と。
隆史はそれを理解してくれ、受け入れてくれた。
だけど、状況は少しずつ変わっている。
「お母さん、どう?仲良くやってる?」
隆史に聞かれ、お母さんの様子を思い出して笑ってしまった。
「ふふ。もう毎日楽しそう。恋する乙女って感じで。一緒にあの家に暮らす話も出てるみたいだよ。」
お母さんに、最近恋人が出来たのだ。
それがなんと…うつ病で入院していた病院の精神科医だというからまた驚く。
しかしその精神科医、鹿山さんはとても優しく、お母さんを愛してくれているのが分かるから…私も反対はしなかった。
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