2761人が本棚に入れています
本棚に追加
お母さんはもう、充分頑張ってきた。
だからこそ幸せになって欲しい。
「そっか、良かったな。」
ぽんぽん。
頭を軽く叩くように撫でる隆史の手に、付き合って半年経つ今もドキドキしてしまう。
思わずじっと見上げたら、隆史が苦笑した。
「こら、やめなさい。ご飯を食べる前に理性が効かなくなりそうだ。」
「!!」
ボンッと私の顔が熱くなる。
慌てて俯く私に、隆史が静かに言った。
「……お母さんが鹿山さんと暮らすようになったら、俺達も……」
「え?」
「……一緒に暮らさないか。」
反射的に顏を上げる。
そこには、真剣で真っ直ぐな瞳があった。
「4月から、渚の職場の近くの学校に赴任する事になった。…今より広い部屋を借りて、一緒に暮らそう。」
「近くの…学校に…?」
「嫌か?2年以上待った。これ以上、渚と離れていたくない。」
――なんて切ない顏をして言うんだろう。
隆史の表情に胸が痛む。
そうだ。
私はどれだけ隆史を待たせてしまったか…。
「…嫌なわけ、ないじゃない。」
最初のコメントを投稿しよう!