プロローグ

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お母さんはもう、充分頑張ってきた。 だからこそ幸せになって欲しい。 「そっか、良かったな。」 ぽんぽん。 頭を軽く叩くように撫でる隆史の手に、付き合って半年経つ今もドキドキしてしまう。 思わずじっと見上げたら、隆史が苦笑した。 「こら、やめなさい。ご飯を食べる前に理性が効かなくなりそうだ。」 「!!」 ボンッと私の顔が熱くなる。 慌てて俯く私に、隆史が静かに言った。 「……お母さんが鹿山さんと暮らすようになったら、俺達も……」 「え?」 「……一緒に暮らさないか。」 反射的に顏を上げる。 そこには、真剣で真っ直ぐな瞳があった。 「4月から、渚の職場の近くの学校に赴任する事になった。…今より広い部屋を借りて、一緒に暮らそう。」 「近くの…学校に…?」 「嫌か?2年以上待った。これ以上、渚と離れていたくない。」 ――なんて切ない顏をして言うんだろう。 隆史の表情に胸が痛む。 そうだ。 私はどれだけ隆史を待たせてしまったか…。 「…嫌なわけ、ないじゃない。」
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