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「渚、これどこに置くんだ?」
「あ、それは寝室にお願い。」
真新しい部屋に、ダンボールや家具が運びこまれていく。
荷物をせっせと片付けながら部屋を見渡し、笑みが溢れた。
プロポーズから1ヶ月近く経ち…ようやく、この日がきたのだ。
お母さんも鹿山さんと同棲を始め、近々籍を入れるらしい。
私と隆史も…今日、再び同棲を始める。
「渚、どうしたボーっとして。疲れたか?」
荷物を片付ける手を止めたままぼんやりと幸せを噛みしめていたら。
隆史が、温かいココアの入ったマグカップを差し出してくれた。
「あ…ありがとう。」
「疲れた?休むか、少し。」
そう言って頬に触れた手が温かい。
「ううん。違うの。……幸せだなぁって。」
「渚…」
頬に触れた手に自らの手を重ね、その温もりを確かめた。
「でも…なんだか照れちゃうね。」
一度同棲していたとはいえ、あれからもう2年以上経っている。
妙な恥ずかしさで落ち着かない私の唇を、隆史の指に撫でられた。
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