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「マズイな、荷物を運ばなきゃならないのに。可愛い過ぎて、このまま抱きしめたくなった。」
言うのと同時に抱きすくめられ、クスクスと笑ってしまった。
「まだ引っ越し業者さんが…。終わってから、…ね?」
「…よし、さっさと終わらせるか。」
終わった後の目標が出来たせいか、隆史が俄然やる気を出してテキパキ動き始める。
それを見て笑いをこらえつつ、荷ほどきを進めた。
「はー!なんとか、片付けられたな。」
なんとか部屋らしくなったリビングで、隆史がソファーに倒れ込む。
全ての荷ほどきを1日で終えるのは無理だと判断して、とりあえず必要なものだけを出し残りのダンボールは部屋の隅に追いやった。
「お疲れさま。かなり疲れたでしょう?」
煎れたばかりのブラックのコーヒーを差し出すと、隆史が体を起こしてそれを受け取る。
「全然。…これから渚と暮らせるんだと思えば、あれくらいなんでもない。」
「隆史……。…今日から、よろしくお願いします。」
改めてペコリと頭を下げたら、隆史が笑った。
「俺…幸せだ、今。」
嬉しそうな声と共に、近づいてきた唇を受け止める。
疲れているはずの隆史に横抱きに抱き上げられ、有無を言わさず寝室に連れていかれた。
そして二人で寄り添い眠りにつく。
今日から始まる、二人の日々を思い描きながら――
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