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隆史の手が、私の顔を覆うベールを捲り上げる。
そして、笑った。
「参ったな…誰にも見せたくない程に、キレイだ。」
「っ…」
甘いセリフに驚いて咄嗟に顔を上げる。
すると目前に、隆史の優しい顔があった。
後ろに撫で付けられた髪に、真っ白な衣装。
さながらどこかの王子様のような洗練された恰好が、隆史のかっこ良さを存分に引き立てている。
「…隆史こそ…目眩がする程素敵…」
頬が熱かった。
私は何度惚れ直せば良いのだろう。
知れば知る程。
触れれば触れる程好きになる。
「じゃあ、倒れないようしっかり支えてないとな。」
クスッと笑った隆史が目を伏せ、私の腰を引き寄せながらそっと唇を重ねた。
興奮した大勢の悲鳴が耳に響く。
名残惜しく離れた唇の代わりに、今度は互いの額がくっついた。
「俺は世界一幸せな新郎だ。愛してる、渚。」
私も愛してる。
そう言いたかったのに、喉が熱くて何も言えなかった。
言葉の代わりに隆史の首に抱きつく。
「泣き虫な花嫁だな。…俺が守るよ、一生。」
囁かれた言葉が嬉しくて、私はまた、頬を涙で濡らした。
今日、あなたへの永遠の愛を誓います。
END
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