0人が本棚に入れています
本棚に追加
エルリアに抱き着こうとした男は軽くよけられ、
勢い余って後ろにいた木山に抱き着いてしまった。
「ちょ、大家さん」
そんな二人を冷ややかな目で見ながら、エルリアは部屋の中へ入って行った。
「ここも変わらないな」
座布団に座ってそう呟いていると男と木山が続いて入って来た。
「いい部屋ですね」
木山はそう呟くと座布団に座り、続いて男も座った。
「まずは自己紹介をしようか。僕の名前は右代宮光司、そしてこの僕の
愛する妹の名前は……」
右代宮と名乗った男が先陣をきって話を始めたが、
「こいつには名乗った」
エルリアは、相変わらず肩に手をまわそうとしてくる右代宮の手を払いながら話を遮った。
「え、兄妹って事ですか?でも苗字が違う様な気が……」
木山は抱いていた一番大きな疑問を二人にぶつけた。
「それは簡単な理由さ。右代宮光司は偽名だからだよ。勿論、エルリアにも偽名はあるさ。もっとも、本人は気に入ってないみたいだけど」
木山の疑問に右代宮は即答した。
「……ところで、二人は今日は何しに来たんだい?」
木山は答えられずにいると代わりにエルリアが答えた。
最初のコメントを投稿しよう!