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歩けば30分以上はかかる距離だ。
「でもよー、たった3キロだろ?
ちょっと微妙な距離だよなぁ」
卓が首を傾げながらぶうたれる。
「まあな。
だけど井戸に行ってみる価値はあるだろ」
5人は僅かな明かりと地図を頼りに森の中を歩き続けた。
どれくらい歩いただろか。
途中卓が躓いて転ぶというハプニングもあったが、それ以外は何事もなく、そのうち五人は突然視界が開けた場所に出た。
木々が一切生えていない不毛地帯だ。
まるで作られたかの様なその空間は、およそ距離五〇メートル、幅三〇メートル程で、その先は崖になっていて道はなく、下までは悠に数十メートルはある。
落ちればひとたまりもない。
「明らかに不自然だよな……」
卓が中央にぽつんと浮き出ている円形の物質を見て漏らした。
ちょうど広場の中央に、石造りの古びた井戸が異彩を放って佇んでいる。
特別この場所への道があるわけでもなく、不自然にぽつんとあるのだ。
「もし採掘の為に掘られた井戸なら、採掘場へと通じる道があってもいいはずだな。
この辺りを少し調べてみようぜ」
光彦は嬉々とした面持ちで辺りを捜索し始めた。
智子と夏美が大きな溜息をつきながら顔を見合わせる。
「もう飽きたよね」
「うん」
「三田君ともっと話してくればいいじゃん」
「えぇ~……だって、ねぇ」
智子は悪い事を思い付いた悪戯っ子の様ににんまり笑うと、
「あだっちゃん、ちょっといい!」
と、義明と話している卓を呼び付けた。
「ちょ、何するのさ!?」
嫌な予感がしたのか、夏美が慌てて智子を見やる。
「あたしはあだっちゃんと光彦と三人でぷらぷらしてるから、あんたは三田君と仲良くやっといで」
そう言うと智子はとぼとぼ歩いてくる卓の方へと駆け寄った。
「どうした?」
「いいからいいから」
不思議そうな表情の卓の腕を引っ張り、光彦の元へと連れて行く。
「ん、何かあったのか?」
駆け寄ってくる智子と卓を見て、当然の如く光彦も不思議そうな表情をする。
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