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和美さんは
やはり清春を手放した事を
後悔していた。
当たり前だが‥
しかし‥
今のままでは
清春を返せないと
KIYOが言った。
和美さんも‥それは
承知していた。
だから社長の胡散臭い話に乗りバーテンの修行に出た。
そんな経緯を聞いていると‥
「近いっ!!近いっ!!
オッサン離れろやっ!!」
KIYOが入って来た‥
KIYOは社長のおでこを
ぐにーっと押して
私の横にストンと座った。
ふわりと
KIYOのイイ匂いがした‥
「お待たせ♪真理♪」
近いっ!!近いっ!!
顔が近い‥って言うか‥
ほっぺに唇ついとる‥
「私には‥無いのか‥」
「ァア~っ!!?
何で俺がオッサンに
チューしなきゃ
なんねーんだよっ!!
アホかっ!!」
そりゃそうだ。
そんな事より‥
清春の事だ。
私はKIYOに
清春が描いた2枚の絵を
見せた‥
KIYOはクシャクシャの絵の方をジッと見つめ‥
「ふ~ん‥」と言った。
ふ~ん‥って‥
「で‥真理はど~したいの?」
KIYOは手に顎を乗せて
首を傾けた。
「参観日。
和美さんに来て貰いたいの‥」
「それで‥いいの?」
KIYOは私の目を
ジッと見つめた‥
それで‥
ど~なるかは‥
解っている。
「それで‥いいの。
それが‥いいの。」
これ以上清春の優しさに
甘える事はデキない。
清春の旅立ちは
淋しいけど‥
清春の蓋が今‥
開きかけている。
これを逃すと‥
今度はいつ開くか解らない。
もしかしたら‥
錆びて‥
開く事が無いかも知れない‥
清春の本音を
知ってしまった以上‥
清春の優しさに
甘える事なんて‥
デキない。
「ん‥。解った。
ど~せ‥もう来るんだろ?」
KIYOは全て
お見通しみたいに言った。
「‥ああ。」
社長が頷いた。
「真理。
お前が和美に話せ。」
KIYOは私の手を握って言った‥
「‥わかった。」
KIYOは私の頭を
ポンポンと撫でると
野菜スティックの人参を
私の口に入れた‥
「何やってんの‥?」
私はポリポリしながら
聞いてみた。
「エサ。真理ウサギに
エサやってんの‥」
KIYOは清春の絵を
チラッと見て言った‥
ウサギって‥
鼻‥青いか‥?
「可愛いっ♪」
KIYOは私の鼻をツンツンした‥
私はKIYOのくれるエサを
ポリポリと食べた‥
社長も何故か‥
ポリポリしていた‥
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