アンコール③

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「真理ちゃん‥ 今日はアリガトーね‥ 清春‥今日は 興奮して眠れないんじゃ ないかしら‥?」 和美ちゃんは カウンターの中で 社長の水割りを作りながら 言った‥ すっかりマスター‥いや‥ ママか‥店長か‥ が、板についている。 貫禄さえ感じられる。 長きに渡り水商売をしているとこんなモノなのだろうか‥ 和美ちゃんには その風格があった‥ 社長が惚れた女‥ 「きっと今頃‥ 興奮して眠れなくって‥ またオンステージ やってんじゃない?」 私の買ってあげたタオルで‥ 「そ~ね~‥ 何だかミポリンと花音ちゃんに悪いわぁ~」 和美ちゃんは苦笑いをした‥ 「大丈夫よ‥ 母さんはきっと楽しんでるわ。 それに花音ちゃんは‥ KIYOの妹よ‥? ある意味KIYOより最強だから 大丈夫よ‥(笑)」 「そ~ね… 私達一般人は かなわないわよね‥(笑)」 私と和美ちゃん 一般人二人は笑った。 KIYOがスタッフの所を 回って来る。と言ったので 私は和美ちゃんのいる カウンターに座って 飲んでいた‥ KIYOがスタッフの所 一人一人に お酒を持って声をかけている。 そんな事ちゃんと出来るんだ‥そんな サラリーマンみたいな事‥ 出来るんだ‥ 何故か妙に感心してしまった。 「ホント。変わったわよね‥」 和美ちゃんは サラリーマンKIYOを見て ボソッと言った‥ そ~だ‥ 和美ちゃんは KIYOのホスト時代を 知ってるんだった‥ 「ねぇ‥和美ちゃん‥ 昔の事‥聞いてもいい?」 「え‥?昔の事‥?」 やっぱり嫌かな‥? 「いいよ‥♪ 今は‥昔の事も‥ ちゃんと受け止めてるから‥ 大丈夫よ♪何でも聞いて。 真理ちゃんになら‥ 何でも話してあげる♪」 捨てた過去も‥ 過去の過ちも‥ 受け止めた和美ちゃん‥ だから‥今がある。 だからかな‥ 和美ちゃんに‥ 風格があるのは‥ 一生懸命に生きた 風格がある。 「KIYOのホスト時代って‥ どんなだったの‥?」 私は‥ ほんの少しだけ 昔の話を聞いた。 そう‥ むかしむかしの話じゃない。 ほんの少し昔の話‥ それでも‥ KIYOや‥和美ちゃんには‥ むかしむかしの話なのかも 知れない‥ だって‥ 楽しい時間は あっという間だが‥ 暗くて冷えたトンネルは‥ やたら長く感じるモノだから‥
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