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「真理ちゃん‥
今日はアリガトーね‥
清春‥今日は
興奮して眠れないんじゃ
ないかしら‥?」
和美ちゃんは
カウンターの中で
社長の水割りを作りながら
言った‥
すっかりマスター‥いや‥
ママか‥店長か‥
が、板についている。
貫禄さえ感じられる。
長きに渡り水商売をしているとこんなモノなのだろうか‥
和美ちゃんには
その風格があった‥
社長が惚れた女‥
「きっと今頃‥
興奮して眠れなくって‥
またオンステージ
やってんじゃない?」
私の買ってあげたタオルで‥
「そ~ね~‥
何だかミポリンと花音ちゃんに悪いわぁ~」
和美ちゃんは苦笑いをした‥
「大丈夫よ‥
母さんはきっと楽しんでるわ。
それに花音ちゃんは‥
KIYOの妹よ‥?
ある意味KIYOより最強だから
大丈夫よ‥(笑)」
「そ~ね…
私達一般人は
かなわないわよね‥(笑)」
私と和美ちゃん
一般人二人は笑った。
KIYOがスタッフの所を
回って来る。と言ったので
私は和美ちゃんのいる
カウンターに座って
飲んでいた‥
KIYOがスタッフの所
一人一人に
お酒を持って声をかけている。
そんな事ちゃんと出来るんだ‥そんな
サラリーマンみたいな事‥
出来るんだ‥
何故か妙に感心してしまった。
「ホント。変わったわよね‥」
和美ちゃんは
サラリーマンKIYOを見て
ボソッと言った‥
そ~だ‥
和美ちゃんは
KIYOのホスト時代を
知ってるんだった‥
「ねぇ‥和美ちゃん‥
昔の事‥聞いてもいい?」
「え‥?昔の事‥?」
やっぱり嫌かな‥?
「いいよ‥♪
今は‥昔の事も‥
ちゃんと受け止めてるから‥
大丈夫よ♪何でも聞いて。
真理ちゃんになら‥
何でも話してあげる♪」
捨てた過去も‥
過去の過ちも‥
受け止めた和美ちゃん‥
だから‥今がある。
だからかな‥
和美ちゃんに‥
風格があるのは‥
一生懸命に生きた
風格がある。
「KIYOのホスト時代って‥
どんなだったの‥?」
私は‥
ほんの少しだけ
昔の話を聞いた。
そう‥
むかしむかしの話じゃない。
ほんの少し昔の話‥
それでも‥
KIYOや‥和美ちゃんには‥
むかしむかしの話なのかも
知れない‥
だって‥
楽しい時間は
あっという間だが‥
暗くて冷えたトンネルは‥
やたら長く感じるモノだから‥
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