アンコール③

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「会員になる審査の段階で‥ お見合い写真みたいな ホストのプロフィールを 見せられるの‥ それで私は‥ 清矢の写真に目を奪われた‥」 “清矢”とは‥ KIYOの源氏名。 本名の一字と‥ 矢の様に尖っていたからだ。 と以前社長が言っていた‥ 「清春の‥父親に‥ 似てたんだよね…」 当時‥和美ちゃんが 忘れたくても 忘れられなかった 清春の父親。 「そぅ‥私は迷わず 清矢を指名したわ‥ でも‥清矢は人気者で‥ なかなか予約が 取れなかった。 1ヶ月待ちとか‥ 当たり前。」 1ヶ月待ち‥ カリスマ美容師かっ? と‥言う事は‥ 1ヶ月休みナシ? 「とにかく私は暇だったから‥清矢の空き時間に合わせて 予約を入れて貰ったの。 いわゆる‥ キャンセル待ちね。」 飛行機かっ? 「キャンセル待ちも 競争率高かったのよ~」 同じ事を考えてる 暇な社長夫人が他にもいた。 って事だな‥ 「ホストのKIYO‥ あっ‥清矢はどんな感じ?」 17歳のKIYO‥ 私の知らないKIYO‥ 「んとねぇ~~ 今よりガリガリで‥ でも‥筋肉はすごかった!」 肉体労働してたからか‥ 「とにかく‥ 目力がハンパないって言うか‥ナイフとか 可愛いモンじゃなくて‥ アレは日本刀ね‥ 波打ってる日本刀‥ 妖刀って感じ。」 妖刀‥ 確かに今も面影はある。 妖しく光る妖刀‥ 「それを隠す様な 長い前髪で‥ でも‥全然隠れて無いの(笑) 逆に妖しい‥」 Kenさんも‥ 同じ事を言ってた‥ 「真理ちゃんは ホストクラブ行った事ある?」 「ぅん‥普通のならね‥」 レイナとひやかしで何度か‥ ハマる事は無かったけど‥ そんなお金に余裕も無いし‥ 「普通ホストってさ‥ 愛想良かったり‥ 話上手だったり‥ 持ち上げるのうまかったり‥ するじゃない? 清矢はね‥そ~ゆ~のが 全く無いの。 無愛想で‥無口で‥ ちっとも 持ち上げてくれない。」 ハア~? 何か‥わかる気はするが‥ それで何で人気者なんだ? 顔?見た目? 「ただ‥飛び抜けて‥ 聞き上手だった。 話さなくても‥全部 聞いてくれてるみたいで‥ 清矢は‥何もしなくても‥ 横に居てくれるだけで 良かった。 そんなホスト‥ 今まで会った事無かった。」 わかる気がする‥ だって‥ 今も‥KIYOは‥ 飛び抜けて聞き上手だから‥ KIYOは‥ 心の声を‥ 聞いてくれる。
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