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「なぁ一条」 「な、何よ」 「食べ物が怖い。 こんな感情が普通だと思うか?」 コンビニの袋を私の見えない位置に置いた遠藤は、開いた脚に肘を着き、手を組んで私を見詰める。 「お前が怖いのは、特に、炭水化物と脂肪と糖。 で、カロリーが死ぬ程気になる。 そして今、食べなくて済んだお前は、ホッとしてる。 違うか?」 心情を的確に言い当てられて、ドキッとする。 でも、私はダイエットしているだけだ。 拒食症なんかじゃない。 「点滴」 「……点滴が何よ」 不覚にも声が震える。 やめて、言わないで。 違う、絶対に違うんだから!
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