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私自身は彼の意識を引かなかったけれども。
レジ横のパン山積みの3枚のトレーは、彼の意識をダイソンかって位に吸引していて。
店内の客は、彼と私だけ。
それは幻だって、思ってくれないかしら。
然り気無く隅に移動してはみたもののーー。
視線を感じる。
刺さる視線で穴でも空いて萎まないかな、私。
無理か。
詰まっているの、空気じゃなくて脂肪だし。
「有難うございましたぁー」
可愛らしい店員さんのアニメ声に見送られ、彼は小さな緑色の袋を手に、店を出て行った。
私には目もくれず。
細身の長身を、店の隅から見詰める私に見せ付けながら。
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