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「ぉ……?」
ふと目が覚める。
夜。目に映る満点の星空。
体を起こすと、あたり一面が草原。そこから無数の小さな光の玉が宙に浮かんでは消えていく幻想的な風景。
そして、離れた場所に力強く立つ一本の大木。雲を貫き、月に向かってそびえ立つ。
俺達の……精神共鳴世界だ。
確か、さっき……深夜までアリスに傷つけられながら追いかけ回され、何とか部屋に帰還したものの当たり前のように灰夜は眠っていて、力尽きた俺は怪我を放置したまま布団にダイブ。眠った筈だ。
「……精神的に寝かさない、か」
こういう事か。なにさせるつもりだよ。
「やっと起きた」
「……正確には眠ったんだ」
声のする方へ目をやると、黒のワンピース姿の夜宵が腕を組んで立っている。
こいつも日向もくだらねぇ悪戯しやがって。後でお仕置き……いや、教育してやんねーと。
「……で、何なんだよいきなり。精神共鳴世界に呼び出して」
「修行するよ、零」
「は?」
「修行するって言ったの。ここならいくら怪我しても平気だし魔力も無限だから」
「…………」
夜宵にしては珍しく真剣な目でそう言う。
「急にどうした? 別に反対する理由はねぇけど」
「……お姉ちゃんとの朝練。水夏……さんとの鍛錬。……これじゃ満足いかない」
「…………!」
「もっと鍛えたい。でも体力、魔力、時間がそれを制限してしまう。これじゃまだまだみんなに追い付けない……でしょ?」
……流石は俺の精霊。全部お見通しと言うわけだ。
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