プロローグ.降り続ける理不尽

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 突然だが、世の中はやっぱり理不尽な事だらけだと思わないか?  少なくとも俺はそう思う。  だって俺はこんなにも不幸なのだから。  でも、そんな俺にもこの2ヶ月で良いことが沢山あった。  何よりも先ず、素敵な仲間……なんて、男の俺が言ったら気持ち悪いだけなんだが……とにかく、あいつ等に会えたんだ。  行動が有り得ないくらいに理不尽な奴。  友達思いだけど、変態な奴。  臆病で引っ込み思案。でも優しい奴。  思いを口に出せないが、味方にしたら一番心強い奴。  うるさいけど、その明るさがムードメーカーになる奴。  あと、暑苦しいトサカ野郎。  ……それから、俺の心に宿ってた精霊。  俺はこれからそいつ等を知らなきゃならない。  そして、そいつ等に知ってもらいたい。この俺を。  そうやって互いを信用して、絆を作り上げて、思い出を紡いでいく。  それが〝仲間〟なんだって、俺は思うんだ。  それともう一つ。  この世界に産まれてから一度も使えなかった魔力を、もう少しで扱えそうなんだ。  ……もう少しであいつ等の隣に立って、それで対等な学園生活を送りたいと思う。  でも、その前に。  彼女を助けなきゃならない。  これが、今回やっぱり理不尽だなと思った理由だ。
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