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強化合宿、最終日。
初日から丁度二週間が経過。どんよりとした雲が覆う空から、言わずもがな天候は曇り。予報では荒れるらしい。
「いーいコト思い付いちゃってさ」
そんな中、初日に俺達が学園から転送された浜辺で瑠巳ちゃんは開口一番にそう言い出した。
彼女の周囲には日向以外は全員集合。結局あいつは最後まで鍛錬に参加しなかったらしい。
なに考えてんだと思ってるのはみんな同じだろう。
「いいこと?」
「なんだそれは」
と、聞き返すのは姉さんと黒守。
つまり2人も知らないと。また瑠巳ちゃんの独断かよ。
「師弟でコンビ組んで、サバイバルマッチやろうか。ほら、団体メンバー選抜ん時みたいなやつの別バージョン」
相変わらず軽い感じ。だが珍しく携帯ゲームはしていない。
確かに今日が最後だし、修行の成果も出したい所。彼女にしては悪くない提案かもしれない。
「ちょっと待って下さい」
「ちょっと待て」
しかし同教師の2人はストップをかけ、それぞれ瑠巳ちゃんの腕を掴むと何故か離れた場所へ引きずっていく。
異議あり、らしい。
「ふむ……悪くはないと思う」
「瑠巳にしちゃあ良い提案じゃねーか?」
そう言うのは合宿開始以来初めての制服姿の水夏先輩と、今日は燃えるような赤い着物に黒い帯を着こなした狐さんである。
毎度の事ながら、狐さんの着物にはいったいいくつのバリエーションがあるのか疑問に思う。
などと思っていると、今度は狐さんも黒守の手によって教師陣の輪の中へと連行されてしまった。
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