12.衝突の最終日

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 戻ってきて瑠巳ちゃんより直ぐにルールが説明される。彼女は戦略系のゲームとかもするらしく、ルールとか作るのは妙に上手い。  基本的には選抜戦の時と同じ。違うのはチーム戦……と言うよりはコンビ戦と言った方がしっくりくるか。それと、地形ぐらいだ。  学園の森に比べて範囲は何倍にもなるが、ここはきちんと道が整備してあるし、見渡しが利く場所も多彩。そしてありがたい事に、魔力の質が濃い師匠役が綺麗にバラけるため、俺からしても魔力探知が簡単。あくまで俺達団体メンバーの鍛錬なので、探索に関しては師匠役はノータッチなのだ。だから助かる。  瑠巳ちゃんの見立てでは、1日あれば十分に決着がつく、そうだ。  因みに例の首輪、魔膜バリア発生装置……この間知ったんだが、通称、〝MFB〟と言うらしい。これも無論必須。人体を守る魔法具であると同時に、勝敗を決する為に必要な物だ。 「最後に、悪いけど転送陣は用意してないから。今から30分、各自師匠役は互いの魔力を探知しつつ、なるべく離れて綺麗に分散。時間になったら開始ね。……それじゃー解散っ!」  それを最後に、みんなはそれぞれ別々の方向へ歩き去っていく。  自然と灰夜の方へ目がいくが、生徒会長の転移術が既に発動している。  それを眺めていたのは俺だけではなく、兎村も心配そうな表情で見ていた。何か知っているのか、それとも単に灰夜がおかしい事に気がついているだけか。  何か話し掛けようとしている風にも見えるが、既に転移は完了。跡形もなく2人は消えてしまった。  それを見届け、兎村も黒守と共にこの場を去っていく。  気がつくと、残っていたのは俺と水夏先輩だけ。 「さて、我々も行こうか。……と言っても、どのみち闘うのだからここで待っていても私は構わんがな。勝手にみんなが離れて、距離も取れる」 「……そうですね」 「……。……零君」 「はい?」 「気合いが足らんッ!!」  刹那、俺の横っ面に先輩の平手が飛んできた。  避けようにも唐突過ぎて、しかも速い。完全に気を抜いていた俺はモロにそれをくらった。
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