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「おいあんた!しっかりしろよ!おい!!」
「親父、もう無理だろ。こりゃあ…ちぃとばかし出血量が多すぎる」
出血量?何の事だ?
「馬鹿野郎!俺ァお前をそんな気弱に育てた覚えは無ェ!第一まだ心臓は動いて…」
「………ん…」
ぼんやりとしていた意識が覚醒していく。
暗い視界には50歳前後の頑固そうな男と若い風貌をした気弱そうな男が映る。
「……う…ん?」
「ああ!目が覚めたんだな!よかった…よかった……」
「え?何が………、ぃってぇ」
「あーあーあんま動いてはいけませんよ。怪我してんだから。…しかしよく生きてましたね、びっくりだ」
「怪我?って……っ!」
理解するやいなや、体を突き刺すような鈍痛がはしった。
じくじくと腹の辺りが痛む。
見ると左胸の下から右腹までをスッパリと斬られていた。
其処から血が伝い、制服を塗す。
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