プロローグ

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 会議室の外では、東京都管財課総務係長の東山陽と東京財務局財務課の日置美香が、 調査官への説明のため、待機していた。 「東山先輩、久しぶりですね。また、東山さんといっしょに仕事ができるなんて光栄です。 あれから、もう2年ですね。」 「横浜の事務所のときからだから、もう2年になるのか。」 「あの頃はよく飲みに行きましたよね。 酔い潰れて何度もタクシーで送ってもらって本当にお世話になりました。 「南田からきいたよ。相変わらず飲んでるみたいだね。 もうすぐ30なんだから、少しは控えた方がいいよ。」 「あー、ひどい。まだあと2年あるんですからね。」 緊張感の会話に廊下が騒がしくなった頃、会議室のドアが開き、少し小太りな男から 「いやー、お待たせしてすいません。財務局の方とと東京都の方ですね。 お話をお伺いさせていただきたいのでお入りください。」  東山と日置美香は、顔を見合わせた後、 改まった表情で会議室に書類を抱えて入っていった。
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