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資金使途欄にありますように昭和21年の特定道路整備事業の一部として12億円が当該国有地交換に係る整備資金として宮崎県の神楽建設に支払われていました。
工事箇所の特定は本書類には記載がないことから特定できませんでした。
小太りな調査官は東山へ視線を移し質問を続けた。
「現在、東京都ではこの高千穂の土地をどのように管理されているのですか?」
「お恥ずかしい話ながら、先日会計検査院から連絡があるまで、宮崎県に飛び地があるとは考えてもいませんでした。
東京都所有地の管理台帳、道路管理台帳を確認しましたが宮崎の土地に関するものはありませんでした。」
小太りな男は東山への視線を鋭くして質問を続けた。
「当該財政融資資金の貸付金の最終返済日は昭和51年償還になっていますが、
財政融資資金返済の予算編成の段階で気づかなかったのですか?
あと、その後、この土地に係る管理費は発生してないのですか?」
「当時の決算書を提出させていただきますが、宮崎の神楽建設に昭和20年9月20日に東京都特定道路整備特別会計から12億円支払われていますが、その後当該道路に係る管理費等支出はありませんでした。
財政融資資金返済計画についても、整備した路線名、竣工日時等記載されたものが別添のとおりありましたが、宮崎のものと思われるものはございませんでした。」
「併せて、旧土地台帳、付属図面、登記簿、現在の14条図面を確認しましたが、当該土地については土地台帳が作成された明治以前から所有者は福岡県筑紫市の「日向 楓」となっており、
現在まで所有者の変更はありませんでした。現況にですが、一番近い県道からでも5kmはある道路未設の袋地で山林となっています。
東山は調査結果について淡々と説明した。中年の上席調査官は目を閉じたまま東山の説明を聞いている。
東山は調査官の態度にかまわず、説明を続けた。
「以上の調査より東京都の見解としましては、当該12億円は宮崎県高千穂の道路整備費ではなく、寝川米軍基地に隣接する道路の拡幅工事等の整備費用にあてられたものと判断しました。
昭和21年の道路計画が確認でき次第提出させていただきます。併せて宮崎県の土地についても引き続き調査をさせていただき、判明次第報告させていただきます。
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